少年はどんな絵を見て成長したのだろうか。
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札幌市中央図書館には、明治末期から大正期にかけて刊行された貴重な絵本・絵雑誌が所蔵されている。それらの一点ずつには、「池田イシ氏寄贈」印が捺されており、調査の過程で、元の持ち主は、一九一〇(明治四三)年札幌生まれの一少年であり、一九七三年に遺族によって一括して寄贈されたことが判明した。
寄贈された資料は、絵本九五冊、絵雑誌一九種一八二冊、その他資料四冊、計二八一冊である。絵本は、一九一〇(明治四三)年から一九一七(大正六)年の刊行、絵雑誌は、一九一五(大正四)年から一九一九(大正八)年の刊行で、ともに一九一〇年代に集中している。
この「発見」は、大正期に実在した一少年が愛読した絵本・絵雑誌の実態を知りうるというだけではなく、具体的な読者像を想定して論じる可能性のある稀有なものであった。そこで、このコレクションを「池田コレクション」と命名して、様々な切り口で分析し、考察することになった。
「池田コレクション」は、江戸時代から継承してきた文化と、近代化によって導入された西洋文化が、まじりあったり、変容したり、並立したりするさまが、豊富な図像で残されており、大正時代の絵本・絵雑誌研究だけでなく、多岐にわたるアプローチが可能な内容をもっている。本書によって、「コレクション」の持っている多様性の一端を明らかにしたい。
第1部「池田コレクション」所蔵 絵本・絵雑誌の概要と意義
第1章 絵本コレクションの概要と意義
第2章 絵雑誌コレクションの概要と意義
第2部 「池田コレクション」の絵本・絵雑誌の特色
第3章 絵本・絵雑誌にみる印刷技法と絵画表現
第4章 大正期の絵本・絵雑誌の言語表現
第3部 「池田コレクション」の絵本・絵雑誌の諸相
第5章 歴史絵本と絵雑誌にみる歴史英雄像
第6章 絵本・絵雑誌とポンチ
第7章 絵本・絵雑誌の「尽くし」的表現
第8章 絵本・絵雑誌の「しかけ」についての一考察
第9章 絵本・絵雑誌にみる<遊びのイメージ>
終章 日本絵本史における大正時代と「池田コレクション」の意味
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